納棺師という仕事

私が始めて納棺の仕事をしたのは輝雄さんのお母様がなくなったときです

これから、もっともっと一緒にいろんな話をしたいと思った矢先でした。

なのに、お母様は突然亡くなりました。

明日、病院だからおふろにはいるよ

大丈夫 ひとりではいれるよ

そんな感じに言って、それっきり戻らぬ人となりました。

涙をがまんしている男の兄弟

泣きさけぶ女の兄弟

がっくりと言葉も出ないお父様

そんな中、私もいろいろな苦痛を味わいされました。

くやしくてなみだが止まりません

でも、輝雄さんとお子さんは少なくても私の味方でした。

あわれな目で見ていた私の両親

父が お前はいつもいばらの道を選んで歩いているなあ

でも、お前はそれを越えることが出来る人間だ

そういって背中をたたいてくれた父の姿は私は一生忘れません

そんな中 輝雄さんは私にお母さんにお化粧をしてくれませんか

そういいました

私は、亡くなった方にメイクをしたことはありませんでした

でも、不思議とやってあっげたい

そう思ったのです

お化粧ができあがりました

あ~かわいい

私は素直にそう思いました

今まで見たお母様の中で、1番奇麗でかわいらしかった

ほほはチークではじらいをひめたような

ほんのりピンク色で、小さなくちびるはツヤツヤと赤く

ほほえんでいるかのようなお化粧をした顔は、少し誇らしげにさえ見えました。

そんなに奇麗にお化粧することなど1度も亡かったお母様

そのお化粧をした姿を見たことで、私達は皆、少し心が落ち着いた気がしました。

縁あってそんな経験をした私

今でもあのときのかわいらしくなってほほえんで下さったお母様のお化粧したお顔は

一生忘れられない記憶となりました。

別れは必ず来ます

去る者より見送る者の方がいつでも悲しみは深いと思います。

悲しみだけを残して良いのでしょうか

亡くなった方のために、出来る限りの思いを形にすると同時に、見送る者が後悔しない

見送りであるべきだとおもうのです。

そのために少しでもお役に立てる仕事、それが私が目指すもう一つのメイク・納棺師

という仕事です。

私はさまざまなご遺体・ご葬家に出会い、この仕事を通じて

人が幸せに生き、幸せにその一生を終えるにはどういきたらいいか・・・

人が本当に大切にすることは何か・・・

という人生の勉強をさせて頂いていると感じています。

涙を流して喜んで下さるご葬家の方のために私はこれからも精進してまいります

ありがとうございました

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