突然の死
そこに背の高くおとなしそうな品のある白髪の男性がボーっと祭壇の前に座っていた
ショパンの曲がなんだたとても悲しく聞こえる
通夜はしないそうだ
みんなで集まったら、献花をしてお食事らしい
ふと気がつくと故人は音楽をやっていたそうである
祭壇の前には、いくつかの楽譜がおいてあった
素敵な曲ですね
私はある女性に話しかけた
その女性は妹らしい
そうなんです
これはね、兄さんが
姉にね『俺のほうが先に行くから、自分の好きな曲を繰り返し繰り返し
テープにいれてほしい  そして、それを自分の葬儀にかけてほしい
そういってね 姉に作らせたものなんです』
そばにいた喪主は、『それなのに なんで ・・・こんな急に・・・』
そういって泣き崩れた
妹さんは続けた『姉は今頃は兄さんとオランダに行っているはずだったんです
それが7日前に急に倒れて・・・・死んでしまったんです』
いたたまれなかった
祭壇の前には 航空チケットが置いてあった
おもわず  涙が  ・・・
ぞくっとして・・・ふと祭壇を見ると
お棺の中から煙がモクモクもくもくと噴出していた
えっ?
びっくりして私は声を上げた
あ・・・?  みんなには見えない?・・・・
そう、見えてるのは私だけだった・・・・・・
次の瞬間 彼女が立っていた・・・
ええ・・・?
とてもいやな空気が流れていく・・・・なぜ?
みんなに愛されて、心から悲しんでいる遺族に見える
でもこの空気は・・・恨み?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後彼女は後ろの席に座ったり  棺の廻りに行ったり・・・・
静かにうごきまわっていた
葬儀サンの一人が、『なんか無性にさっきから気持ち悪い・・・はきそう』
彼は、気がついてないようだが これは彼女のこの空気が原因であろう
私もずっと 鳥肌が止まらない・・・
でも、不思議である
私は何年もこの仕事についているが、異体の周りに 霊はいたことがない
逆に どこにいるの?と思うほどである
どんな死にかたをしたかたでも・・・いない
それなのに、なぜ彼女はいるの?・・・
私は 彼女の顔が見たくなった・・・
もしかして・・・・しに切れない顔をしているのかしら・・・・
そっと 棺に近づき  窓をあけた・・・
なんてきれいな顔・・・まあるで寝ているような顔をしている
じゃ、なんで?
献花が始まった・・・・
そして 15人の親族が ないた
彼女は 一番後ろに座っていた
遺族を 食事に ご案内した
喪主は  しばらく  故人のそばを 離れずに ショパンを きいていた
彼女は その後ろに座っている
帰り道 なんだか  悲しい空気に包まれながら 私はいた
次の日 彼女はいなかった
喪主は最後に皆さまに あいさつをしてくださった
『今かかっているこの曲は私の大好きな曲で、何回も繰り返して聞けるように
彼女に120分テープに入れてもらったものなんです』とないた
『旅行の好きな彼女と二人で昨日から本当はオランダに行くはずだったんです
なのに・・・・急に7日前に倒れたと思ったら・・・・
そのまま・・・・帰ってきてはくれなかった・・・・』
もう、そのあとは喪主様は・・なにも話すことが出来ませんでした。
私は、もしかして、奥様は 自分が死んだのを まだわかっていらっしゃらないのでは・・・
そう思った
私は手を合わせた
奥様  奥様は  もう、この世にはいらっしゃいません
でも、だんな様の心の中には いつまでも 消えることはないでしょう
どうか
どうか  これからは  だんな様の心の中で  だんな様を 守ってあげてください
そして火葬等に行っても もう 奥様は 現れなかった
ところが
次の日  うちの経理に
『又 社長 なんか もってきたでしょう  吐き気が止まんないんでけど』
といきなり・・・・いわれた
確かに事務所の空気が どんよりと うすぐらい
実は私には霊は よっぽど強いものしかつけません
霊は 見える人には 何かを 訴えようと ついてきてしまうんですよね
でも、うちの経理は
霊は見えないのですが 体に入り込まれてしまう体質なんです
ほんと厄介で・・・葬儀の受付にしわっていても
亡くなった故人ではなく 階層に来た方の厄介な霊につけれてしまい
しばらく 寝込みます
まったく・・・・
その後  彼女は 香にのって 天に参りました
どうか  天国へ行かれますように
そして だんな様を 見守ってくださいますように
20120523230540

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